抄録
日本には伝統的に数多くの祭りが存在してきた。それらの祭りは日本の文化として地域に根付き、継承されてきた。しかし、現在の祭りは本来の祭りの目的を見失い変化しているように考えられる。行事の内容も社会環境の変化等により変更を余儀なくされた例もある。祭を行うことそのものが目的に成り代わっている形骸化した状況の祭もある。それらの結果を踏まえ、現在の生活環境変化を考慮した上で、より良い祭りとは何かを考えていく。本稿では祭りを3つのタイプに分け、祭りの効果と祭りのマイナス面を考察することで、祭りの存続意義を考察している。仮説の都市部の祭りほど祭にマイナス面が伴う、は支持され、地域住民が行う祭りほど祭りの効果が高いは、一部支持された。長刀鉾に代表される都市部観光目的の祭りの効果は、人的な交流の活性化であり、マイナス面としては、交通面の不快適さ、ゴミの散乱である。八幡山に代表される都市部観光目的の祭りの効果は、地域コミュニティの形成で、マイナス面としては、交通面、騒音、ゴミの散乱である。六請神社に代表される地域住民が支えるコミュニティの祭りの効果は、世代間のコミュニケーションで、マイナス目は特になし。