人と社会の営みをより良くするためのデザイン学研究は、技
術革新や専門分野の多様性を取り入れながら高次に展開してい
る。しかし、その研究構想や知識を市民と共有できる場づくり
の方はあまり進んでいない。とりわけ人口減少による社会構造
の変革が予測される地方では、デザイン学研究の知識をより直
接的に地域社会に還元していく活動が必要とされる。
このような背景から、筆者らは日本デザイン学会第 1 支部(北
海道・東北地区)においてデザイン学研究に取り組む専門家の
研究構想を市民と直接的に共有できる学会活動の在り方を模索
した。本稿では学会という学術研究者による閉ざされた活動を、
市民に開かれた営みの場(市場)に持ち出し、市民と学生、研
究者らが自律的に知識交流した活動過程を省察する。