筆者は木材同士を接合する伝統的な“接ぎ手”を応用した組木のデザイン学的な可能性を2008年より研究している.
接ぎ手の研究は主に建築分野で行われており,その多くは強度に関する研究であり,伝統的な接ぎ手を改良し木材以外の材質に応用し現在の建築現場での応用開発に活用されている.また,組木は少ないパーツ数で構成されている場合も,組み立てるのに難解なものが多い.さらに,組木には玩具と造形教育の機能の二つを組み合わせた組木もある.これらは樹脂製が多く,接ぎ手を使用せずにマグネットによりパーツ同士を組み合わせる方法を多く採用している.上述のように,“接ぎ手”を応用した組木には多くのデザイン学的な研究課題が残されており,本稿では,これまで行ってきた研究の事例報告と今後の研究課題について考察する.