抄録
前報では、視覚障がい児が生活動作を習得するにあたり、難易度が高い動作、晴眼児と比較して難易度の差が大きい動作、未経験率の高い動作を明らかにし、それらの動作の特徴や傾向を示した。また、生活動作習得に向けて療育施設ではどのようなツールや手法を用いているのか、調査を実施した。しかし、これらのツールや手法、療育者固有のノウハウが一般に公開される機会は少なく、また国内の視覚障がい児数も減少傾向にあることから、療育に関する情報の入手、共有は容易ではないと言える。そこで本報では、24種類の生活動作について、療育施設において円滑な習得を目指して用いられるツールや手法をそれぞれ「知る」「わかる」「できる」の3ステップごとに整理し、「生活動作」「ステップ」「練習開始目安時期」「習得難易度」「(ツールの)入手方法」の5項目から検索が可能なデータベースを作成した。検索結果は5項目に「ツールを用いた具体的な練習方法」「遊び方のポイント」などを加えた11項目が表示される。併せて、これらの内容をウェブサイトで公開し、広く閲覧可能な状態にすることにより、①療育者間による情報の水平展開を容易にする、②家庭内においても情報を得やすい環境をつくることを目指す。