消費者の欲求が物質的充足から精神的充足に移行しているのに伴い,感動体験のデザインに向けた感動研究の必要性が高まっている.こうした背景を受けて,過去に感動モデルが提案され,感動の生起要因が驚きと共感の論理積で示されている.このように,感動のメカニズムに関する知見が存在する一方で,感動体験をデザインする手法の提案には至っていない.そこで,本研究では感動体験のデザインに向けて,感動モデルを用いたデザイン手法(以降感動デザイン手法と称する)を提案した. また,感動デザイン手法の有効性検証実験を行い,提案したデザイン手法を適用したデザイン案が感動を生起させる可能性を示した.さらに,山口県下関市毘沙ノ鼻におけるブランディングデザインの事例に感動デザイン手法を適用し,共創の環境下での感動デザイン手法の使用,および,デザイン案の地域住民への提案を通して,感動デザイン手法のデザインの現場での実用性を確認した.