日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会第71回研究発表大会
セッションID: PA-32
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動きを用いた読字方法のプロトタイプ「動読」
リサーチ・スルー・デザインによる「読めなさ」の探索
*西川 拓輝富田 誠
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抄録

筆者は動画を見たり音声を聞いたりする場合に比べ、長文の文字を読む場合に目が滑るような感覚を持つことがあり、読みづらさを感じていた。近年はデジタル化された文字を読むことが日常的になったが大きな変化はない。筆者は、デジタル化してもなお印刷と同様の表示方法を踏襲している現状にフラストレーションを感じていた。本研究では動きの誘目性に着目し、デジタルデバイス上で長文を読む際に注意力を持続させ続けるための読字方法を検討する。まずモーショングラフィックスの手法を用いて40種類の動きの種類を作成した後に、読者がモバイル・タブレット端末の画面をタッチして読み進められるプロトタイプ「動読(どうどく)」を制作した。結果、文字の動きによって次々と目が文字に誘われていく感覚が心地よく感じられた。筆者は試作を作ることで困難を乗り越えるための糸口を見出そうとした結果、注視点の移動が読みづらさに関係しており、それは動きによって克服しうるものだとわかった。これらの過程はリサーチ・スルー・デザインのアプローチに合致していることから、本研究はRtDを自分の困難の克服と、その原因の理解のために行なった事例と言える。

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