1989 年 1989 巻 73 号 p. 103-110
本報は,プロダクトデザインにおける2次元CADの役割をCREATION(情報の創造),COMMUNICATION(情報の伝達),APPLICATION(情報の適用)の局面からとらえたものである。事例としてソニーデザインセンターにおける3年間の2次元CAD活用展開を取りあげ,4ステップに分けて分析した結果,CAD導入に伴なう以下の効果が当該2次元CADシステムで認められた。(1)データベースやオンラインデータコミュニケーションを活用して高速にCADと画面対話することにより,造形シミュレーションが促進されデザインの質が向上する。(2)設計者との緊密なデータコミュニケーションは,新しい有機的なネットワーク型の作業形態を生みつつある。(3)デザインへの情報集積効果によって生産のためのAPPLICATIONを考慮する必要が増え,ルーチンワークのCAD自動化はデザイナーの創造性指向を強化する。