1996 年 42 巻 6 号 p. 1-8
20代を中心とした韓国・日本の若い世代を対象とし,24種の伝統工芸品をサンプルに,各人の美意識を統計的な手法で比較・分析した。大部分の人がこのサンプルの評定尺度によって,両国の若者の多くは各国独自の美意識を持っていることが示された。若い世代においても,同じ地域・文化の中で暮らすことによって同質的な美意識の性向を持っていることが分かった。韓国人の伝統工芸品の表意性と視覚的なイメージについて因子分析により評価をした結果,「精緻-単純」,「快-不快」,「大胆-貧弱」の3因子のイメージ構造を持っていることが分かった。日本人は「地味-派手」,「優美-野暮」,「軽-重」の3因子のイメージ構造をとらえていることが分かった。