1997 年 43 巻 5 号 p. 1-4
幼児教育の現場におけるデザインの教育的活動の意味とそのありかたを考察する, という研究テーマで, とくに「壁面構成」と呼ばれる作業をひとつのデザイン活動例としてとりあげる。保育現場で「デザイン」ということばを耳にする機会は現在ほとんどないが、幼児の遊びのなかにも「デザイン」の萌芽を多く認めることができる。保育者が今後保育空間のなかで, 子どもとモノ, モノとモノの望ましい関係づけを追及し, よりよい保育環境を創造するというデザインの概念をとり入れて, 「壁面構成」などの造型教育活動が行なわれることが望ましい, と提案する。また, このようなデザインの考え方はすでに改訂された「幼稚園教育要領」や「保育所保育要領」の「環境」と「表現」という新しい領域概念のなかに含まれていると考えられ, 今後幼児教育の場でデザイン活動を実践する上での指針として, おおいに参考になるものと思われる。