デザイン学研究
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大学生における「伝統的苞」と「現代的包み」に関する認識・イメージ・使用 : 韓国における苞の生活文化に関する研究(2)
尹 明淑禹 在勇朴 燦一田中 みなみ宮崎 清
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2001 年 47 巻 5 号 p. 1-10

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抄録

本稿は、自然素材によって制作され使用されてきた「伝統的苞」およびプラスチックに代表される新素材を用いて工業的に大量生産される「現代的包み」に関し、韓国の大学生がどのような認識・イメージを有し、どのように使用しているかを調査し、包みの文化のあり方を考察したものである。アンケート解析を通し、次の諸点を析出した。(1)総じて、「伝統的苞」を生活のなかで使用した経験はないものの、また、「伝統的苞」が今日の家庭ではみられないものの、大学生たちは、「伝統的苞」の素材・制作形態・処理方法に関する堅実な認識を有している。(2)利便性・実用性の観点で「現代的包み」が生活のなかで大量に使用されているものの、大学生たちは、それがゴミ問題・環境問題を惹起するひとつの要因になっているとの認識を有し、使い捨ての生活を可能な限り調整する姿勢を有している。(3)大学生たちは、資源循環型社会の再生・再構築が必要との視点に基づくとき、「伝統的苞」の文化が育んだ諸特質を再評価することの必要性を認識している。

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© 2001 日本デザイン学会
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