抄録
本論文は、遠隔操作鑑賞ロボットを使用して、鑑賞操作行動と興味度の高まりの関連性の解明を目的とした研究である。本研究では、一連の鑑賞行動には「鑑賞している状態」と「鑑賞していない状態」の2つの状態があるという仮説をたて、それらの区別を試みた。また、鑑賞行動のメカニズムを解明するためには、鑑賞操作行動の記録に加え、鑑賞者の興味度の変化を記録することが必要不可欠であるとし、刻々と変化する鑑賞時の興味度の変化を時系列的に記録した。時系列的な鑑賞者の鑑賞操作行動と興味度の関連を数量化理論1類にて分析した結果、画像をクローズアップし、興味度が高まる状態を「鑑賞している状態」と定義づけると、その操作要素として「カメラチルト(縦振り量)」「カメラパン(横振り量)」があげられ、逆に「鑑賞していない状態」の操作要素としては「ロボットの位置(移動)」「ロボットの方位(回転)」を挙げることができた。