2006 年 53 巻 3 号 p. 21-30
本研究は、"17種のウォールペーパー・パターン"という数学のトピックスを、デザインの課題として取りあつかったものである。このトピックスを説明するにあたり、数学者たちはそれぞれの17図版を提示しているが、それらは数学を学ぶ者を対象に描かれたもので、デザイナーが模様を手がける際の手引きとはなりがたい。"17種のウォールペーパー・パターン"をデザインの世界で役立てるためには、数学者ではなくデザイナーによって描かれた17図版が望ましい。本研究では、デザイナーの創作に直接役立つ17図版の考案をこころみた。図版考案に際しては、今から100年以上前に『パターン・デザイン』をあらわしたルイス・デイより、図版における創作姿勢を見習った。本研究では17図版それぞれに、(1)ひとつのモチーフでの展開例、(2)複数のモチーフでの展開例、さらに(3)アルファベット文字をもちいた展開例をしめすことができた。