デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
村上市小俣集落における家印の意匠 : 家印・屋号の活用を通した地域振興
金 夆洙宮崎 清
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 57 巻 5 号 p. 71-80

詳細
抄録

山村と農村の生活が混在していた新潟県村上市旧山北町小俣集落は、かつて、宿場町でもあり、酒造や桶づくりなどが行われていた。本稿は、小俣集落の家印の古今の姿とその意匠文化の観察・解析を通して、家印の今日的・社会的価値を再認識することを目的としたものである。その結果、(1)個々の家々の家印を記した表札を掲示する屋号看板設置運動が展開されてきたこと、(2)家印が商標としての役割をも果たしたこと、(3)およそすべての生活用具.物財に焼印や墨書きなどの方法によって家印をつける習俗があったこと、(4)家印は、伐採した樹木の所有を示す木印とともに、個々の家々とその繋がりを表象するサインであったことなとが明らかになった。「しるし文化」は、当該地域の生活文化の表現であり、地域アイデンティティ確立のための重要な要素である。本稿の実地調査を通して、家印の価値の再認識は、地域ブランドづくりにも繋がり、当該地域における生活文化の特質を内的かつ外的に共有・告知しえるものであることが確認された。

著者関連情報
© 2011 日本デザイン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top