デザイン学研究
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風景画像の空間構成・印象が時間知覚に与える影響
高橋 侑里今泉 修山田 桃子日比野 治雄小山 慎一
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2016 年 63 巻 3 号 p. 3_83-3_92

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抄録

 近年の研究で風景知覚が時間知覚を調整することがわかってきた。本研究は,風景画像の空間構成と印象が時間知覚に与える影響について,時間二等分課題を用いて調べた。まず空間構成と時間知覚の関連を調べる実験では,参加者は正立・倒立・スクランブル画像を観察して,画像の呈示時間が400 ms と1600ms のどちらに近かったかを判断した。プロビット解析の結果,正立画像のほうがスクランブル画像よりも時間を長く感じさせることが示された。しかし,この効果は刺激の背景色を変更することで消えた。時間知覚が風景画像の空間構成と背景色の二要因から影響を受けた可能性がある。次に,風景画像が誘発する評価性印象 (好き・嫌いなど) と速度感印象 (速い・遅いなど) が時間知覚に与える影響を調べた。短時間 (400-1600 ms)と長時間 (2000-8000 ms) の知覚について検討したが,いずれの印象も時間知覚に影響しないことが示唆された。

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© 2016 日本デザイン学会
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