デザイン学研究
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タケの構造に着目した染色方法の検討と染色竹材の印象評価
沈 得正飯塚 拓郎佐藤 浩一郎寺内 文雄久保 光徳
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2017 年 63 巻 6 号 p. 6_65-6_72

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抄録

 本稿は,竹材が有する魅力を色やテクスチャから生じる感性価値の観点から捉え直し,その活用可能性を述べている。具体的には,竹材が有する構造的な特徴に着目し,その主たる構成要素である表皮層,維管束,柔組織を染め分けることで,竹材の印象を変化させることを試みた。まずタケの各構成要素を染め分けるために,4種類の染料と3種類の染色方法を用いた染色実験を行った。その結果,染料と染色方法を組み合わせることで,竹材の表皮のみ,維管束のみ,表皮を除いた部分すべて,すべての構成要素を染め分けられることを確認できた。次に,染色された竹材の印象を明らかにするために,前述した染色竹材4種類に染色していないものを加えた計5種を対象として,被験者により抽出した印象評価語との対応関係を数量化理論Ⅲ類を用いて分析した。染色する構成要素により「明瞭さ・派手さ・人工感」の印象が大きく異なることが確認できた。以上より,染色竹材の活用可能性が示唆された。

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© 2017 日本デザイン学会
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