デザイン学研究
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北部九州山笠山台における舁き棒の取り付け
―博多祇園山笠山台原形の考察
松内 紀之石村 眞一藤原 惠洋
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2017 年 64 巻 1 号 p. 1_39-1_48

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抄録

 博多祇園山笠は,770 余年の歴史を継承した国指定重要無形民俗文化財である。原形とされる施餓鬼棚を含めるとすれば,当初2本であった舁き棒が江戸時代後期には6本にまで増えた。残された史料は僅かであるが,北部九州一円を見れば,今も様々な形態の山笠が継承されている。これら北部九州山笠山台各形態の特徴把握と分類を行い,各山台間の関連性と変容,博多祇園山笠成立過程について考察することを研究目的とする。
 本研究では特に,棒締め方法に着目し,整理・分類を行った。その結果,異なる棒締め方法の山笠であってもいくつかの部分的共通点を指摘することができた。その上で,互いに影響しながら変容してきたことを推察し,博多祇園山笠成立過程についての見方を提示した。博多祇園山笠は,時代とともに舁き棒本数を増加させつつも,山台木部材構成の著しい変更・増加をすることなく,工夫と選択を重ねることで,現在の姿に至った。

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© 2017 日本デザイン学会
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