デザイン学研究
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台湾三峽地域における藍染産業の成立
─三峽地域におけるアイデンティティの礎としての藍染産業の歴史
王 淑宜植田 憲
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2017 年 64 巻 3 号 p. 3_41-3_50

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抄録

 本研究は,台湾新北市に位置する三峽地域における内発的地域づくりの方向性を導出するための調査・研究の一環である。本稿においては,当該地域における藍染産業の歴史を概観・整理するとともに,藍染産業が三峽地域の社会に及ぼした影響を考察することを目的とした。文献調査ならびに古老らへの聞き取り調査に基づき,以下の各点を明らかにした。(1)当該地域の藍染産業の基礎は,中国福建省などから台湾に移住して来た人びとが故郷から持ち込んだものであった。(2)当該地域の人びとが良質な藍澱や藍染製品を製造する独特の技法を生み出し,台湾全土の他,中国や日本などへ輸出するまでに興隆した。(3)三峽地域の藍染産業が最も盛んになったのは1890年から1920年頃であったが,その後,化学染料の台頭や社会の変容を要因として急速に衰退した。(4)三峽地域の藍染産業の形成には,「互助精神」「結市」などの当該地域の人びとの結束が大きな影響を与えた。今後の地域づくりにあっては,上述した歴史を踏まえ,地域の展開を志向していくことが望まれる。

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© 2017 日本デザイン学会
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