2017 年 64 巻 3 号 p. 3_71-3_78
本研究の目的は,中小企業のUDN協同組合により計画・建設された高齢者住宅を評価し,将来の可能性を明らかにすることにある。寒冷地北海道における高齢者住宅の質を向上させるための議論は,一連のUDN研修と整備基準の策定に基づき実施した。研究は,2006~2013年の間に企画から設計(第1段階),施工から竣工(第2段階),居住体験(第3段階)の3段階で行った。第1段階では,4テーマ16項目の基準を見直し,4テーマ19項目を得た。第2段階では,9テーマ33項目の新しい基準を策定し,UDの視点からの独自の計画を実現した。第3段階は,2人の高齢者に訪問面接調査を行った。その結果,将来の改善内容が見出され,80%の肯定的な評価が得られた。この実践的な方法は,高齢者住宅の環境改善に有効であることを示唆している。