デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
伝統的住居「宅溝」の日常生活にみられる空間特質
―中国上海市崇明島の伝統的住居における「住まい方」(1)
戴 薪辰植田 憲
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64 巻 (2017) 4 号 p. 4_9-4_18

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抄録

 1978年の改革開放以降,中国は飛躍的な経済成長を実現した。しかしながら,その一方で,地域文化の消失などのさまざまな社会問題が生起しつつある。本研究で取り上げた上海近郊に位置する崇明島においては,都市化に向け急速な開発が進められており,地域文化の消失が危惧されている。本研究は,崇明島において形成されてきた伝統的住居「宅溝」の日常生活の住まい方に着目し,それらを記録するとともに空間特質を明確にすることを目的としたものである。文献調査・現地調査に基づき,宅溝の構造とそれらに対応した日常生活における空間特質を把握した。結果として,住居空間には,5層にわたる重層的な内外の区別,ならびに,水平方向・鉛直方向の上下の区別が確認された。また,それらは,いずれも,建物の物理的なしつらいに加え,それぞれの空間に立ち入ることのできる人や時,また,出入りの仕方,植栽や紋様に付与された意味などが約束事として規定されており,日常生活における人びとの行為が連動することでその区別が演出されてきたことを明らかにした。

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© 2017 日本デザイン学会
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