デザイン学研究
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中国河南省楊玘屯における伝統的工芸「泥咕咕」の制作技術とその特質
―地域特性を活かした資源循環型ものづくり「泥咕咕」の文化(1)
王 甯植田 憲
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2018 年 65 巻 1 号 p. 1_61-1_70

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抄録

 本稿は,中国河南省楊玘屯における伝統的工芸「泥咕咕」の制作技術とその特質の把握を目的としたものである。以下が調査・考察の結果である。(1)泥咕咕の制作技術は単に生産性の向上を目指した結果ではなく,土や鉱物,動植物,時間・空間,温度などの身の回りのさまざまなもの・ことに利活用の可能性を認め,それらの使用の経験を蓄積しつつ創出・継承されてきたものである。(2)泥咕咕のモチーフ・サイズが多様である他,同じ人によってつくられた同じモチーフにもいくつかの種類があり,こうした多様性には農耕生活における自由な創作活動の発露として,この文化の創造にいかに人びとが主体的に関わってきたかが表出されている。(3)天日あるいは竃の余熱だけで乾燥がなされる泥咕咕は,その役割を終えた後,やがて再び土に還る性質を有しており,泥咕咕の文化が当該地域における資源循環型のものづくりとして成立してきたことが分かる。(4)泥咕咕が黒を地色とするのは,日常生活にある資源を利活用したことが主な要因の一つであり,泥咕咕の道具や資源の調達を含む一連の制作過程には地域資源の全体活用の優れた知恵が確認された。

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© 2018 日本デザイン学会
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