デザイン学研究
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文字が生み出す空間
─フォントデザイナーへのインタビュー調査を通じたフォント表現の考察
関 博紀後藤 明里
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2018 年 65 巻 2 号 p. 2_21-2_29

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抄録

 フォントの種類は数万を超えると言われている。それぞれの違いは文字の形にある。したがって,フォントデザイナーは,文字の形に意識的であると考えられる。しかし,フォントデザイナーは,自らの仕事を語る際に,文字の雰囲気のような,形状とは異なる特徴に触れることが多い。このことから,フォント制作の現場では,文字の形とともに,それとは別の水準が意識されていると考えられる。本研究では,文字の形状とそれ以外のものに注目して,フォントデザイナーへインタビュー調査を行い,フォントデザイナーが制作中に何を意識しているのかを確かめた。調査では4つの項目にもとづく計35 の質問を行った。発言を分析した結果,フォントデザイナーは,文字の形状と同時に,文字の周辺をも含めた「全体性」を意識していること,その「全体性」には「余白」,「文字組」,「世界観」という3つの水準が包含されていることがわかった。以上の結果を先行する知見とあわせて考察した。

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© 2018 日本デザイン学会
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