2019 年 65 巻 4 号 p. 4_37-4_46
本論文は,シリコンバレー・モデルとしてのデザイン・シンキング(以下,DT)に着目し,日本の大企業を対象として,どのようにDTが活用されているかという点を明らかにした上で,今後,未採用の日本企業がDTを新たに導入するためのモデルを構築することを目的とする。DTに関連した文献調査を実施した結果,先行事例はコンセプト,ツール・メソッド・フレームワーク,ケース・スタディの3カテゴリに分類された。これらの結果を踏まえ,半構造化インタビューの設問の3つのパラメータ,理解度,導入レベル,発展性を設定した。10名のインタビュイーを対象としたインタビューを通じて得られたテキストデータをテキスト分析手法であるM-GTAを用いて分析し,5つの概念を発見した。本論文の貢献は,これら5つの概念を踏まえて構築された,日本の大企業がDTを新規導入する際に参照可能なモデルの提案にある。