デザイン学研究
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雑誌『Flair』(1950-51)のデザイン性
―アメリカの女性ファッション雑誌の比較から
手島 由記子
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2019 年 66 巻 1 号 p. 1_45-1_54

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抄録

本稿は、フルー・コウルズ(Fleur Cowles,1908.2009)が1950年に創刊したアメリカの女性ファッション雑誌『Flair』を、同時代の他の女性誌と比較分析し、『Flair』の独自性を導き出すことを目的とする。『Flair』のデザインは、豪奢で趣向を凝らした雑誌として高い評価を受けた。しかしそのためコストの増加から、わずか1年で廃刊に至った。本稿で比較分析するのは、装幀デザイン、編集デザイン、紙質、カラー率とモノクロ率、活字率(読み物率)の五つの項目からである。他誌と比較分析した結果として『Flair』独自の特徴は、装幀デザインと編集デザインと紙質に特に顕著に見られた。つまり他の女性誌と比較して『Flair』に顕著にみられる装幀デザインは、抜き型(ダイ、die)、二重の表紙、毎号異なるロゴ、特色印刷、エンボス加工であった。また、他の女性誌には用いられていない『Flair』に特徴的な編集デザインは、小冊子、アコーディオン折りの紙、半ページ、抜き型の使用であった。しかし、綴じ込みカードは『seventeen』にも用いられていた。本研究によって『Flair』は、戦後アメリカの女性ファッション誌のデザインにおいて、他誌と比べて、独自の趣向を持っていた雑誌のひとつであることが明らかになった。

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© 2019 日本デザイン学会
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