2019 年 66 巻 2 号 p. 2_1-2_8
内閣府は小規模多機能型居宅介護事業所(以下,小多機)と地域密着型通所介護事業所(以下,地域通所)を推進し,共に「通い」,いわゆるデイサービスを提供している。しかしながら,「通い」についてほぼ同様の基準にもかかわらず,介護職員の比率が大きく異なっている。そこで本研究では両施設にて実施している介護サービス等に特性があると仮説を立てた。その結果,以下のことが明らかになった。①小多機と地域通所では,空間利用及び介護職員・利用者の行動に軽微な違いはあるものの,概ね同様であった。②小多機と地域通所では,実施している介護サービス等のデザインにほとんど違いがなく,同様の介護を行っていた。③介護職員の比率は,地域通所は基準が1:15のところ,介護現場では小多機と同様1:3に近い比率で介護が行われていた。④基準である介護職員の比率は大きく差があるが,ほぼ同様の比率で介護が行われていたため,空間利用及び介護職員・利用者の行動においてほとんど違いがなかった。