デザイン学研究
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絵画資料にみる中国四川省羌族居住地域における服飾の特質
─中国少数民族羌族居住地域における内発的地域活性化を目指して(1)
張 夏植田 憲
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2019 年 66 巻 2 号 p. 2_39-2_48

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抄録

 本稿は,中国四川省羌族居住地域における服飾を対象として,その特質を,文字資料ならびに図像資料,なかでも絵画資料に基づき抽出することを目的としたものである。絵画資料としては,南北朝時代(439~589年)と清時代中葉(1736~1850年)に編纂された巻子本である『蕭繹職貢圖』ならびに『皇清職貢圖』を取り上げた。文字資料に基づき羌人の変遷をまとめるとともに,両図に描かれた計17人の当該地域の人びとの服飾の分析を軸として,現地における聞き取り調査を踏まえ,以下の諸点を明らかにした。(1)羌族居住地域の服飾は,多様な民俗が混成しつつ形成されたものである。(2)今日,当該地域の服飾の特質は刺繍にあるとされているが,古くは,刺繍はむしろ少なく,当該地域において入手される大麻や羊毛,毛皮などの素材の利活用を通して独自の服飾文化が形成されていた。(3)農耕を生業とする地域であるか狩猟や牧畜を生業とする地域であるかによって服飾が異なっており,当該地域の服飾は,自然環境や生産方式の影響によって形成されてきた。

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© 2019 日本デザイン学会
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