デザイン学研究
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「侘び」を表現するための造形手法に関する研究
─日本の美意識を表現する工業デザイン造形研究(1)
杉本 美貴城川 真実大久保 爽一郎
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2019 年 66 巻 2 号 p. 2_49-2_56

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抄録

 本研究は,現代の工業製品の外観デザインにおいて「侘び」の美意識を表現する造形手法を導出することを目的に研究を行なった。そのために,侘び茶の完成者である千利休が茶事において重視した作為と,彼が好んだとされる茶道具の造形特徴に着目した。はじめに,千利休の作為を記した144件の逸話から作為の目的を5つに分類した。次に,彼が好んだとされる54点の茶道具の造形特徴と分類した5つの作為の目的とを照らし合わせることで,それぞれの作為を表現するための造形手法を導出した。
 その結果,『実用の作為』の造形手法が「使用性への配慮」「適材適所」,『未完の作為』の造形手法が「簡潔な表現」「余地を残す」「ネガティブをポジティブに転換」,『調和の作為』の造形手法が「形や素材のリズム感」「物,人,時間,空間への配慮と取り合わせ」「端正で安定感のある表現」,『隠伏の作為』の造形手法が「技巧を隠す」「最小限の変化量」,『婉曲の作為』の造形手法が「間接的な表現」「見立て」であることを導出し,事例となる工業製品の試作により,導出した造形手法の有用性が示唆された。

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© 2019 日本デザイン学会
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