2020 年 66 巻 3 号 p. 3_11-3_20
クレジットカードや電子マネー、デビットカード、QR コード、スマートフォン・アプリ(以下アプリ)を介しての送金など、現金以外のさまざまな支払い手段が利用され始めているが、日本においては、未だ現金での支払いが優勢である。その理由としてさまざまな社会的な要因が指摘されているが、生活者自身がどのような理由で支払い方法を選択しているか、という生活者の心理については明らかになっていない。
そこで、本研究では10 名の生活者へインタビューを行い、グラウンデッドセオリーアプローチを援用し分析した。その結果、生活者が支払い方法を決定するためには共通のプロセスが存在していること、さらに、支払い行動については4パターンの行動原理があることを明らかにした。最後に、キャッシュレス社会に進展していくためのサービスデザインの要件提案を行なった。