プロダクトデザインの開発においては,適切な機能や外観を得るためにその指針となるデザインコンセプトを如何に形成するかの方法論が求められているが,これに対するデザインの要求側と実施側に認識上の差異が存在する。本稿では,デザインコンセプトについて考察し,認知科学の見地から内包と外延の意味において意味論的に定義可能なことを示し,さらにデザインコンセプトは集合の要素による直和表現に帰着させ,最終的に選言標準形に基づく表記を得る。この選言標準形をポジショニングマップに表示させ,集合の性質を利用してデザインの要求側と実施側両者の間を結びつける実現手法を提案する。提案手法を検証するために,3Dプリンターで試作したコップを商品市場と想定し,これを限定的な範囲で小規模の調査によりポジショニングマップを作成し,コップの商品市場に機能や外観を得るための新たなデザインコンセプトの形成が可能であることを示した。