デザイン学研究
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言語的特性が「笑い」生成プロセスに与える影響についての分析
─米国・中国のコメディ番組の比較研究
吉松 孝池田 美奈子
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2021 年 67 巻 4 号 p. 4_33-4_42

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抄録

 米国・中国のシットコム番組の「笑い」がデザインされる際の表現においてどのような差異があるのかを、言語的特性の視点から分析した。米中で代表的なシットコム6 番組を分析対象とし、ラフ・トラックの性質について、「未熟性とのギャップ」「実在と虚構の混在」「エネルギーの移行」「表意と推意のズレ」「音声的要因」「先天的差異、属性差異の再認識」という大分類と、さらにシーン内容に即し詳細に作成した小分類を使用し、ラフ・トラックの数のデータ分析とテキスト分析を行った。テキスト分析では、発音されるべきところと違う発音のされ方や声真似など、言語や音声を契機として笑いが起こされたと考えられる箇所を、各番組の初めに出てくるシーンから、無作為に取り上げた。分析の結果、音声的要因により発生する笑いのポイントの割合は、両国とも3%-4%程度であり、差異として、米国シットコムでは「音の高低」による比率が高く、中国では、「同音異義語、似た音での聞き間違い」での比率が高いことが示された。

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© 2021 日本デザイン学会
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