デザイン学研究
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パターン・ランゲージの哲学
─パターン・ランゲージの誕生(4)
古川園 智樹
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2021 年 68 巻 1 号 p. 1_69-1_78

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抄録

 本論文では,コンピュータを利用した生成システムと,「パターン・ランゲージ・システム」との比較分析から,その違いが,システム理論の違いだけでは説明しきれない,もっと大きな哲学的背景・立場が変化したことにあることを明らかにした。その哲学的背景の違いの象徴となるのが,『オレゴン大学の実験』で提案された「ピースミール的成長」という概念である。『パタン・ランゲージ』と『時を超えた建設の道』には参考文献と脚注がないために,これまでは,その哲学的背景を探ることは困難であった。筆者は,『オレゴン大学の実験』にある唯一の脚注とその中の参考文献を手がかりに,ウォーバーグ研究所アーカイブのゴンブリッチ史料,および,スタンフォード大学フーバー研究所アーカイブのポパー史料の分析から,この「ピースミール的成長」という概念が,カール・ポパーの「ピースミール社会工学」に由来することを明らかにした。このことから,パターン・ランゲージの哲学は,ポパー哲学の「最小不幸原理」である,と筆者は結論づけた。

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