デザイン学研究
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建築作品のファサードにみる地域らしさの要因
- 名古屋市を対象とした建築作品による環境演出の分析(その 1)
伊藤 孝紀伊藤 誉佐藤 拓海岩崎 翔太西田 智裕
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2022 年 68 巻 3 号 p. 3_53-3_62

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抄録

 本研究は,市民が捉えている建築作品のファサードにおける地域らしさの要因を,ファサードの印象に潜在している因子から把握することを目的とする。そのため,SD 法による意識調査を用いた因子分析によって主要因子を把握することに加え,重回帰分析より地域らしさと主要因子の関係を明らかにした。さらに,クラスター分析によってファサードの類型化をおこなった。
 意識調査より,敷地面積は 8,100 m2以上 -14,400 m2未満,建築面積は 3,600 m2以上,延床面積は 32,400 m2以上,6階以上の高層で 60m 以上の建築作品が名古屋らしいと評価されることが示された。因子分析より,名古屋らしさの要因である因子は,正の演出性と負の身体性であることを把握した。類型化より,3つのタイプが得られ,名古屋らしいファサードを含むタイプ1の「きれいな・都会っぽい・美しい」に特徴がみられた。これらの結果と意識調査の結果を踏まえ,名古屋らしさの要因である形容詞は,「きれいな・都会っぽい・革新的な・鋭い・派手な・高級な・美しい」であることがわかった。

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© 2022 日本デザイン学会
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