デザイン学研究
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小児がん患者向けインフォームド・アセント資料の導入実態とデザインに関する一考察
岩藤 百香松本 正富青木 陸祐
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2022 年 68 巻 4 号 p. 4_65-4_70

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抄録

 本研究は,小児がん患者に対するインフォームド・アセント用説明資料に着目し,導入実態とデザイン概要を検討してその普及に向けた課題を明らかにすることを目的とした.日本小児がん研究グループに属する197病院における小児病棟勤務の看護師を対象として,資料作成の実施状況および意識について郵送アンケート調査を実施した.回答した 69 病院のうち説明資料を作成しているのは2割に留まり,作成スキルの不足や業務負担増加等の理由から実施に至らない病院が多かった.一方で,資料を作成している側の看護師は汎用的なパソコンソフトを用い,資料の視覚的なデザイン性を重視している現状が捉えられた.既存の院内作成された資料には「紙芝居タイプ」と「プリントタイプ」の2つが存在した.導入率が高い「プリントタイプ」は,患児の年齢に応じてカスタマイズされるなど個別対応に配慮がなされている反面,病気や治療についての情報量に限度がある,平易な説明を補助するための直接的な図解が乏しい,などといった課題が認められた.

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© 2022 日本デザイン学会
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