デザイン学研究
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パターン・ランゲージと文化システム
― パターン・ランゲージの誕生(7)
古川園 智樹
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2025 年 71 巻 3 号 p. 3_51-3_60

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抄録

本論文では,1960 原稿と1967CES 論文集(Paper 5, Paper 6, Paper 6A)を分析した。分析の結果,パターン・ランゲージの理論的背景・哲学的背景にとって,以下の重要な知見が明らかになった(1)1960 原稿を分析すると,(ダイアグラム)・ツリー・システムに「ポパー哲学」は影響を及ぼしていない。(2)Paper 5 を分析すると,パターンを科学の仮説と同様に捉える「反証可能性」と同一の考えが示されている。 (3)Paper 6 とPaper 6A を分析すると,パターン・ランゲージ・システムの構造は,「ダイナミカル・セミラティス」である。(4)「パターン・ランゲージ・システム」の理論的・哲学的背景には,「文化人類学」もある。(5)「生成システム」の目的が,「文化システムの生成」であるとすると,アレグザンダーの問題意識が一貫していたことが明確になる。同時に,コンピュータによる計算という「生成システム」と,パターン・ランゲージという「生成システム」の違いを明確にすることができる。(6) パターン・ランゲージ・システムは,ダイナミカル・セミラティス構造の「文化システム」を生成する。

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