2025 年 71 巻 4 号 p. 4_11-4_20
地域資源は,多様な人々が多様な価値観のもとに利用しており,共に価値を創り出す“地域共創”を目指しながら,地域資源利用の設計を推進することが重要である。本研究では,地熱・温泉資源利用を例に挙げながら,従来の地熱開発の設計を探究の枠組みで一度整理し,既存の設計の枠組みにおけるフレームの影響を認知科学的・数学的・哲学的な視点から理解することを試みた。地熱開発の設計について,自然状態の理解を目的とした受動的探究と,開発条件の選定を目的とした能動的探究に二分し,それらが自由エネルギー原理に基づいてベイズ更新の枠組みで記述できることを示した。C.S. パースの論理学・倫理学・美学の区別を導入し、従来の設計の中のフレームの役割を明確化し,またリフレーミングが人間の自然の行為であることを示した。自由エネルギー原理に基づいてリフレーミングが起きやすい場を考察することで、非日常の場が円滑な地域共創を促進できる可能性があると示唆できる。