デザイン学研究
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顔ジャンケンの相手が顔イラスト画像の場合と現実の人の場合の心理評価比較
─ 嚥下機能と認知機能の維持向上および心理的効果が期待できるリハビリテーションプログラム開発のための研究
吉岡 聖美
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2025 年 71 巻 4 号 p. 4_71-4_80

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抄録

先行研究において,嚥下機能および認知機能のリハビリテーションに活用する顔ジャンケンプログラムを開発した。顔ジャンケンの「チョキ」の表情で,口を左右に伸ばし口角を上げて笑った顔になる表情設定によって,気分が改善する心理的効果が期待できるプログラムである。タブレット端末やPC を用いて実行できるため,高齢者が在宅で一人でも,スタッフが限られる医療機関でも,手軽に活用することができる。本研究では,PC に提示した顔イラスト画像に対して顔ジャンケンを実施した場合と,人対人で現実に顔ジャンケンを実施した場合の心理評価を比較した。その結果,顔イラスト画像の場合と現実の人の場合の心理評価に差はなく,顔イラスト画像の場合も現実の人の場合と同様に気分が改善する心理的効果が認められた。これにより,顔イラスト画像を用いて手軽にリハビリテーションに取り組むことができる顔ジャンケンプログラムの意義が示された。患者や高齢者,医療スタッフのリハビリテーション支援として新たな位置付けとなる。

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