介助犬が障害者の動作を有効に介助できる下肢関節運動機能要素を明らかにするために、椅子からの立ち上がり動作を解析した。対象は健常者6名12肢 (男性 : 4名、女性2名)、平均年齢は18。5±1才。介助犬特有の介助機能である移動性と固定性を利用した4条件と一般的な介助方法である人的介助や器具および犬模型介助器具を使用した12条件の動作を行い三次元動作分析装置と床反力計を用いて下肢関節角度、モーメントを測定し仕事量を求め、下肢各関節の運動特性を比較した。介助犬の介助動作の方法や被験者により下肢各関節の使い方や寄与の度合に違いがある事が明らかになった。介助犬の介助を導入する際には障害の部位や種類および負担を軽減すべき運動要素を含めて十分に考慮し方法を選択する必要があると考えられた。さらに介助犬の移動性を利用した介助は介助犬が移動する事が不安定要素になる可能性が考えられ、導入においては十分に合同訓練を実施する必要性が示唆された。