日本補助犬科学研究
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原著論文
国際線航空会社の身体障害者補助犬への対応状況
倉澤 悠維三浦 靖史
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2016 年 10 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

【目的】 2020年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるにあたり、身体障害者補助犬(以下、補助犬)使用者を含む多くの障害者の来日が予想される。来日する補助犬使用者の多くは国際線フライトを利用すると考えられるが、国際線航空会社の補助犬への対応の現状はあまり知られていない。そこで航空会社の対応状況について調査し課題を検討した。 【方法】2015年の 5-7月に日本に国際線定期便を運航している航空会社を対象に補助犬への対応状況について、各社のホームページ(以下、 HP)に掲載された情報を参照し、 HPで得られなかった項目については電話による問い合わせを行った。 【結果】81社のうち 76社 (93.8%)から情報を収集できた。 53社 (69.7%)で HPに補助犬に関する情報の掲載があったが、HPのみで調査した情報を全て参照できた会社は 8社 (10.5%)であった。59社 (77.6%)が補助犬を客室に同伴可能であり、同伴可能な補助犬の種類は、盲導犬が 56社 (73.7%)、聴導犬が 49社 (64.5%)、介助犬が 38社 (50.0%)であった。また、補助犬の搭乗時に必要な物として口輪が同伴可能な 59社のうち 15社 (25.4%)であげられ、そのうちの 7社は介助犬を客室に同伴可能と回答していた。 【考察】約 4分の 3の航空会社で補助犬を客室に同伴可能であったが、盲導犬と比較して介助犬の同伴可能な割合が低いことが明らかになった。また、補助犬に関する情報の HPからの収集は容易でないことが明らかになった。 【結論】国際線航空会社における補助犬を同伴しての航空機利用に関するサービスが、情報提供を含めて、より一層向上するように、航空会社に対して補助犬に関する啓発活動を実施する必要がある。

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© 2016 日本身体障害者補助犬学会
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