2011 年 5 巻 1 号 p. 37-45
動物病院は,盲導犬の健康管理や怪我・病気時の治療を行なうだけでなく,これらに関する使用者への指導や訓練施設との連携した働きが求められている。しかし盲導犬の実働数は全国で1000頭あまりであり,受け入れたことがない動物病院も多い。このような背景から,今後の更なる盲導犬の普及を願う中で,受け入れる側の間違った先入観を取り除き,盲導犬使用者が動物病院をより利用し易いようにするために,盲導犬使用者10名とすでに補助犬を受け入れている動物病院5件に盲導犬の受診について非構造化インタビューを行った。調査の結果,使用者がうれしいと感じる対応や不都合に感じる点のほとんどは一般の飼い主も共通して感じるものであった。盲導犬使用者が利用しやすい動物病院とは,特別な施設や配慮が必要な特別な病院というよりも,どんな飼い主も利用しやすい,つまり誰にでも快適な動物病院であると考えられた。