デザイン学研究特集号
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イノベーションデザインの創造性
直感・シンセシス・仮説の役割
田浦 俊春永井 由佳里
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2017 年 25 巻 1 号 p. 50-66

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抄録

高度に科学技術の発達した成熟社会では、量的なイノベーションから質的なイノベーションへの転換が進むと考えられる。本稿では、そのような転換を見据えて、そこに求められる創造性についてデザインの観点から議論する。具体的には、デザインのプロセスが「直観ないし直感→アナリシスないしシンセシス→成果物」のフローを経て進むとし、さらに、プロダクトの目的や目標がデザインの外にあるか内にあるかの違いもデザインの創造性を左右するひとつの因子であると考え、これらの諸相について検討する。そして、プロダクトに予め外部から与えられる目的や目標に照らして設計解が探索されてそれが量的なイノベーションに関与するという「分析的なデザイン創造サイクル」と、直感より始まる仮説形成プロセスから未知のプロダクトが考案されてそれが質的なイノベーションに関与するという「構成的なデザイン創造サイクル」の2つのサイクルから成るイノベーションデザインのプロセスモデルを提案する。最後に、これらの考え方のもとに実施したデザインスクールの概要について報告する。

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© 2017 日本デザイン学会
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