ドイツ(連邦共和国)のザクセン邦に焦点を当て,ミッテルシューレにおける物理教育の現状を,学習指導要領などを手がかりにして,明らかにした。ミッテルシューレはハウプトシューレ課程(通算呼称第5〜9学年)とレアールシューレ課程(第5〜10学年)からなり,第6学年から始まる物理の週授業時間数合計(各学年週2時間)にも,違いが生じている。第7学年から,課程別に分かれ,2つの課程で,分野名・大項目数・中項目数・時数で同一なのは,1つの分野にすぎず,7〜9学年における学習内容の目標表現,上位の目標への関連,他教科への関連,生徒実験の指示数に,課程の違いを見ることができる。しかし,教科の学習目標も検定物理教科書も,課程別に分けられていない。そこで,授業実践に際して,教員の資質・能力が問われることになるといえる。