抄録
本研究は小学校で教育実習を行う学生が理科の授業をつくる際に陥りやすい問題点と,指導を行っても容易に改善されない点を明らかにし,その対策を検討した。調査の結果,実習生が陥りやすい点は,児童が喜びそうな観察・実験,および話し合い活動を授業のどこかで必ず取り入れようとすることであり,この傾向は,指導を行っても容易に改善されないことが明らかとなった。また,「炭酸水は廃棄用タンクに捨てるのですか?」「てこがつりあうとまっすぐになる」等,指導する学習内容を実習生が理解しているかどうか疑わしいケースが多いことも明らかとなった。対策として,教育実習に来るまでに,理科の授業目的論,指導する内容の理解,多様な授業方法論をバランスよく学習しておくことが指摘できる。