抄録
本研究では,中学校の理科授業の中で用いられる「花」の概念に着目し,その適用範囲を定めるために有効な授業方略を,中学生を対象とする調査を実施しながら実践的に検討することを目的とする。授業実践と各種調査によって以下の結果が得られた。
(1) 生徒の実態として,マツの花は「花」として認識しにくい傾向があることがわかった。
(2) 「花」単元において構想した授業方略が,マツの花の理解の向上に一定の効果を示した。
(3) 境界事例としてドクダミを提示する際には,タンポポの先行知識が補助的に作用することがわかった。
(4) 調査問題で示した場面において,一貫して演繹的な見方を示した割合は限られていた。