抄録
本研究では、科学の公衆理解(Public Understanding of Science)や社会学・公衆衛生学などの研究領域で出張されている「欠如モデル」(Deficit Model)の適用可能性を、高校生に対して検討すべく、以下の研究目的を設定した。①高校生の遺伝学に関する知識レベルを測定する、②医療に応用されたゲノム研究の促進に対する高校生の態度を明らかにする、③上記態度に関連する因子を同定する。その結果、先行研究の一般市民に対する調査結果と比較し、高校生の遺伝学の知識レベルが高く標準偏差も小さいこと、医療に応用されるゲノム研究推進に対する態度は約 3/4 がこれを支持し、ゲノム基礎研究と農作物に応用されるゲノム研究推進に対しては約半数が支持しているものの、3 割から 4 割の生徒が態度を決められないでいること、そして、ゲノム研究推進に対する肯定的態度と遺伝学知識レベルとの間に相関が見られなかったことが明らかとなった。