2014 年 29 巻 3 号 p. 5-8
筆者らは,動物園来園者の科学的観察を支援するため,紙芝居を用いて観察の視点を提供するという試みを行っている.これまでの研究を通して,紙芝居は科学的観察を支援しうるものの,その効果は限定的であるという課題が明らかとなった.この課題を克服するために,紙芝居の改善を行った.本研究では,改善版紙芝居の評価の一環として,紙芝居で提供した視点に基づいて動物を観察できたのかを検討するために,計 14 組の家族を対象として,来園者の観察行動を分析した.その結果,すべての家族が紙芝居で提供した複数の視点を用いて動物を観察できていたことが明らかとなった.