抄録
本稿では,自然事象の「統合的な見方」を重視しているシンガポールの理科教育に着目し,そこから「統合的な見方」を促す上で必要となる観点を抽出するとともに指導法を開発した。その指導法を小学校及び中学校で実践し,子どもにもたらす効果を検証したところ,「子ども自身に『包括概念』を探させる」という観点及び「『包括概念』にかかわる事象が散りばめられた大判の絵や写真を用いる」という観点を取り入れた指導法は,子どもの「統合的な見方」を促す上で有効であることが示唆された。しかしながら,本研究で行った試行授業だけでは,「大判の絵」がもたらす効果について明らかにできなかったため,長期的に検証していく必要があるといえる。