2018 年 33 巻 3 号 p. 45-48
本研究の研究課題は,ピックの定理の「発見」の方法だけでなく「証明」の方法も含んだ論証教材としての教材化について考察することである.本稿は,その一環として,ピックの定理の発見と証明に関する教材研究を報告することを目的する.ピックの定理は,式の簡潔さから定理自体は受け入れやすいが,その証明は生徒にとって難度の高いものが多い.そのため,発見の方法は先行研究で多く教材化されているが,証明の方法の教材化はあまり進んでいない.本稿では,発見と証明の方法の教材化の課題をそれぞれ考察し,ピックの定理の証明が説明機能を必ずしも備えていないことに着目し,定理がなぜ成り立つのかを理解するための説明の方法について考察する.