本稿では,小学校教員志望者を対象として行った教授実験を報告することを通して,教科横断的な探究学習の可能性と課題について議論することを目的とする.本研究における「教科横断的な探究型学習」とは,教授人間学理論(ATD)に基づく“Study and Research Paths (SRP)”に依拠しており,ある初源的な問いから様々な回答や新たな問いを生み出すことで展開されるオープンな探究活動を意味している.そこでは,問いに対する自分なりの回答を得るために,インターネットを用いて検討することも許容される.本稿では,こうした枠組みに基づいて設計・実施された教授実験の中で,小学校教員志望者(大学生)が生成した一連の問いと回答を分析し,教科横断的な探究型学習の可能性と課題を述べる.