学習指導要領(平成29年告示)において,知識を相互に関連付けてより深い理解を促す学習が求められている.しかし,平成30年度全国学力・学習状況調査の報告書によれば,特に領域を超えた知識の活用に課題があるとされている.本研究では,知識統合(Linn, M: 2000)の理論を援用し,授業実践を通して,学習者が知識を関連付けるプロセスとメカニズムを明らかにすることで,関連付ける能力の育成及び,統合へと結びつく授業デザインの検討を行った.成果として,「対話ベースで知識を関連づけていく際に,学習者レベルでの検討だけでなく,科学的な要素を含ませること」,「観察・実験といった事象レベルのものや,他者の考えを自分の考えに取り入れる際に,その基準を意識化させ,効果的な関連付けにつながること」,を意識した授業デザインを行うことが,学習者が知識を関連付け,統合を実現することへと繋がっていくという示唆を得た.