2019 年 33 巻 8 号 p. 47-50
理数教育において,授業等の学習活動をとおして習得した知識や技能,思考力,判断力,表現力等の,活用の場やさらなる育成の機会として,探究活動が重要である。本研究では中学校および高等学校の理科・数学の探究活動の実態を調査し,その教育的な効果を測定するために,学校における取組状況と生徒の科学探究能力,意識・意欲を調査した。また,探究活動の指導にあたる理数教員の指導の方法をインタビューや学校現場の実地調査により調査した。その結果,それぞれの学校で探究活動の方法,実施時期,教員の関わり方,指導法が異なっており,生徒の科学探究能力に差異があることが明らかになった。2016年から2019年にかけて,教育現場で探究活動の機会が増加していることがわかった。13,000名の生徒に対する探究能力の大規模調査から,探究活動を経験していない生徒を含む全国調査の結果と比較して,探究活動が科学に対する意識意欲増進と,探究能力の向上に効果があることが明らかになった。