2020 年 34 巻 10 号 p. 37-40
本研究の目的は,「諸感覚」の基礎的調査の一環として,児童の視覚での水のとらえ方を明らかにすることである.水を観察しながら質問に回答するインタビューを児童ごとに行い, 目の動きと発言について,動画記録を分析した。その結果,次の点が特徴付けられた.1点目は,児童は水を視覚で捉える際,今までの経験を想起し,既知と結びつけて答える傾向があった.2点目は,児童自身が注視するときは一つの対象物の中の細部の変化や動き等に,視点変化しながら見た場合は,泡の位置や部分ごとの変化等を見取る傾向があった.3点目は,児童が視覚を働かせるときは,自分の言葉から根拠を見出そうとするとき,根拠を探して既知と結びつけようとするとき,質問などにより問いが発生したときに多くなる傾向があるといえる.